この記事で身につくこと

制度が変わると聞くと、今の勉強が無駄になるのではと不安になります。この記事を読み終えると、生保数理について何が変わり、何が変わらないのかを区別でき、2026年度に受験することの意味を自分の状況に当てはめて判断できるようになります。

2027年度からの科目再編

日本アクチュアリー会が公表している見直しにより、第1次試験の科目構成が変わります。生保数理に関係する部分は次のとおりです。

現行科目 2027年度以降
生保数理 + 年金数理 専門数理1(2科目が統合)
損保数理 専門数理2(数学のモデリング部分を統合)
数学 確率統計のみに範囲縮小

生保数理の受験者にとって決定的なのは次の点です。

生保数理と年金数理の片方だけに合格した状態で2027年度を迎えても、専門数理1のみなし合格にはなりません。統合後は、生保数理と年金数理を合わせた範囲の専門数理1を受け直すことになります。

つまり、2026年度までに生保数理と年金数理の両方に合格して初めて、統合後も完全に有効な状態になります。片方だけ持っている人、これから取る人にとって、2026年度は1科目分の範囲で個別に受験できる最後の機会です。

損保数理との違いに注意

同じ制度改定でも、科目によって影響がまったく違います。

損保数理は「専門数理2」への改称+範囲追加で、2026年度までの損保数理の合格はそのまま専門数理2の合格とみなされます。急ぐ理由は比較的弱い科目です。

生保数理はそうではありません。統合の相手(年金数理)があるため、片方だけの合格は宙に浮きます。生保数理を勉強中の人にとって、2026年度の位置づけは損保数理より明確に重い。この違いを踏まえずに「制度が変わるからどの科目も様子見」と一括りにするのは、生保数理では損な判断になりえます。

年金数理に合格済みの人は、2026年度が事実上の合格必須

影響がいちばん大きいのは、年金数理にすでに合格していて、生保数理が残っている人です。生保数理の受験理由として、実際にこの立場の人は多いはずです。

この状態で2026年度の生保数理に合格すれば、両科目が揃い、統合後も完全に有効な状態で確定します。

落ちた場合はどうなるか。手元の年金数理の合格だけでは専門数理1のみなし合格にならないため、2027年度以降は専門数理1を受けることになります。専門数理1の範囲は生保数理と年金数理を合わせたものなので、生保数理の勉強を続けるのに加えて、一度合格したはずの年金数理の範囲まで、もう一度試験対策として仕上げ直すことになります。

つまりこの立場では、2026年度に受かれば残りは生保数理1科目分の努力、落ちれば翌年から実質2科目分の努力です。同じ1回の合否で背負う差がほかのどの立場よりも大きく、2026年度は「受かれば有利」ではなく事実上の合格必須の年と考えて計画を組むべきです。

逆に、生保数理だけ合格済みで年金数理が残っている人も構図は同じです。2026年度に年金数理を取り切れなければ、2027年度以降は統合された専門数理1を受けることになります。

第1次試験はCBT方式

第1次試験はCBT方式(プロメトリック株式会社に委託)で実施されます。会場のパソコンで解答する形式です。当日の行動に直結する条件を確認しておきます。

電卓

持ち込める電卓には細かい条件があります。

  • 電源内蔵式であること
  • 機能は四則演算、平方根、メモリーのみ
  • 文字表示は1行
  • 大きさは幅20cm × 奥行20cm × 高さ5cm 以内
  • 関数電卓・印字機能・発音機能・プログラム機能は不可

生保数理では $(1+i)^n$ や $v^n$ のような累乗の計算を大量に扱いますが、関数電卓は使えません。四則演算とメモリー機能だけで現価計算を素早く回す練習は、本番の環境でこそ効きます。計算基数($D_x$、$N_x$ など)を使って計算量そのものを減らす教科書の流儀も、この制約のもとでは実戦的な意味を持ちます。

そのほかの条件

項目 条件
計算用紙 ホチキス留めされた状態で10枚配布(不足時は申出で追加可)。ホチキス留めを外す行為、破る行為、持ち帰りはいずれも禁止
筆記具 消しゴム付きは不可
時計 持ち込み不可(残り時間はPC画面に表示)
飲料 水のみ(1リットルまで・無色透明・ラベルは事前に剥がす)
本人確認書類 原本のみ(電子媒体は無効)
遅刻 集合時刻(試験開始30分前)に遅れると受験不可(公共交通機関の遅延証明書の提示で開始30分後まで可の場合あり)

時計が持ち込めない点は、時間配分の練習に影響します。残り時間は画面表示で確認する癖をつけておく必要があります。

試験の基本情報(2026年度)

項目 内容
試験時間 全科目180分
受験料 1科目 8,500円
受験資格 試験年度の3月31日時点で満18歳以上
第1次試験の科目 数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論の5科目から選択

2026年度に受ける意味

制度改定を踏まえると、生保数理の状況はこう整理できます。

  • 2026年度は、生保数理を1科目分の範囲で個別受験できる最後の年
  • 片方だけの合格は2027年度以降みなし合格にならないため、生保数理・年金数理はセットで取り切る計画が要る
  • とくに年金数理合格済みの人は、2026年度の生保数理に落ちると、合格済みの年金数理の範囲まで含む専門数理1を受け直すことになる。この立場では2026年度が事実上の合格必須の年
  • 2027年度以降は、生保数理と年金数理を合わせた範囲の専門数理1として挑むことになる

範囲が確定していて過去問の蓄積が使える2026年度のうちに決着をつける、というのが生保数理ではとくに合理的な判断になります。

まとめ

  • 生保数理は2027年度から年金数理と統合されて「専門数理1」になる。片方だけの合格はみなし合格にならず、受け直しになる。
  • したがって2026年度が、生保数理を個別に受験できる最後の機会。損保数理(みなし合格あり)とは切迫度が違う。
  • 影響が最大なのは年金数理合格済みの人。2026年度の生保数理に落ちると、一度合格した年金数理の範囲まで含めて専門数理1で仕上げ直すことになるため、2026年度は事実上の合格必須の年。
  • 第1次試験はCBT方式。関数電卓は不可で、時計も持ち込めない。計算基数で計算量を減らす教科書の流儀は、この制約下でこそ効く。

出典:日本アクチュアリー会「資格試験・研修制度の見直しについて」(2026年4月1日)および2026年度資格試験要領。制度に関する記述は年度によって変わるため、受験の際は必ず最新の試験要領を確認してください。