紙からCBTへ。2022年度に切り替わった
第1次試験は、2022年度からCBT方式(会場のパソコンで解答する方式)になりました。アクチュアリー会が2021年7月に移行を発表し、2021年度までは紙の筆記試験です。運営はプロメトリック社に委託されています。
受験者にとっての実質的な変化は2つです。第1に、紙の時代は東京・大阪の2会場だけでしたが、全国の会場から選べるようになりました。第2に、解答はマークシートではなく画面上の選択になり、問題間を行き来しやすくなりました。一方で、年1回、科目ごとに決まった日時で一斉に実施されること、試験時間180分・100点満点であることは変わっていません(選べるのは会場で、日時ではありません)。
当日の持ち物と条件
2026年度の試験要領に沿って整理します。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 電卓 | 持ち込む(条件は後述) |
| 筆記具 | 消しゴム付きは不可 |
| 時計 | 持ち込み不可。残り時間はパソコンの画面に表示 |
| 計算用紙 | 会場で10枚配布(不足時は申し出て追加可)。ホチキスを外す・破る・持ち帰るは禁止 |
| 飲料 | 水のみ。1リットルまで、無色透明、ラベルは事前に剥がす |
| 本人確認書類 | 原本のみ。スマートフォンの画像は無効 |
集合時刻は試験開始の30分前に設定されており、これに遅れると受験できません。ただし公共交通機関の遅延証明書を会場受付に提示すれば、試験開始の30分後までは受験が認められる場合があります。会場は自分で予約するので、場所の下見や経路の確認も自分の仕事です。
電卓の条件 — 関数電卓は使えない
持ち込める電卓の条件は次のとおりです。
- 電源内蔵式であること
- 機能は四則演算・平方根・メモリーのみ
- 文字表示は1行
- 大きさは幅20cm × 奥行20cm × 高さ5cm以内
- 関数電卓・印字機能・発音機能・プログラム機能は不可
つまり $x^y$ キーはありません。生保数理の計算は $v^n$ や $(1+i)^n$ の累乗だらけなのに、累乗キーなしで戦うことになります。
生保数理での電卓の回し方
この制約のもとで効く操作を3つ挙げます。演習の段階から、本番と同じ電卓で身につけておくべきものです。
定数計算で累乗を作る。一般の電卓は「$\times$ を2回押す(機種によっては1回)」で定数乗算モードになり、$=$ を押すたびに同じ数を掛け続けられます。注意したいのは $=$ の回数と指数の対応が機種で異なることです。$1.02\times1.02=$ から始める機種では1回目の $=$ で2乗になるので、$(1.02)^n$ までの $=$ は $n-1$ 回。$1\times1.02=$ から始めれば $=$ の回数がそのまま指数になります。本番で使う電卓の挙動を演習中に確かめ、押した回数を計算用紙に正の字で記録するのが実戦の型です。
メモリーで基数と部品を貯める。$M+$、$M-$、$MR$ を使い、途中結果を書き写さずに積み上げます。年金現価を項ごとに $M+$ で足し込む、分母に使う値を先に作って $MR$ で呼び出す、といった使い方です。書き写しの転記ミスは、この試験でいちばん惜しい失点源です。
平方根キーは半年払で効く。使える機能に平方根が入っているのは偶然ではありません。$(1+i)^{1/2}$ は $\sqrt{1+i}$ そのものなので、年2回払の利率換算や半年ずらしの割引が1押しで出ます。$\sqrt{\ }$ を2回押せば $(1+i)^{1/4}$ も作れます。
そして、そもそも計算量を減らすのが教科書の流儀です。計算基数($D_x$、$N_x$、$C_x$、$M_x$)は、累乗の掛け算を表引きの割り算に置き換えるために作られた道具です。電卓が制限された環境でこそ、基数で計算量そのものを減らす価値が生きます。
画面の行き来と時間配分
CBTでは問題間の移動が軽いので、手が止まったら飛ばして戻る動きが取りやすくなっています。生保数理は1問あたりの計算量が重い設問に時間を取られやすい科目なので、拾える問題から確実に埋めて、詰まった計算は後で戻る、という順序の自由をCBTの画面操作で活かしてください。残り時間は画面表示で確認する癖を、演習のうちから付けておくことです。
まとめ
- 第1次試験は2022年度に紙からCBTへ切り替わった。会場は全国から選べるが、年1回・科目ごとに決まった日時での一斉実施・180分・100点満点は不変。
- 集合時刻は開始30分前。遅れると受験不可(遅延証明書で開始30分後まで救済の場合あり)。時計は持ち込めず、計算用紙は10枚配布。
- 電卓は四則演算・平方根・メモリーのみ。累乗キーはないので、定数計算で $v^n$ を作り、メモリーで途中結果を貯め、平方根キーで半年払を処理する。
- 計算基数は、この電卓制約の中で計算量を減らすための道具。演習の段階から本番と同じ電卓で練習する。