なぜ受験参考書が推薦リストに入るのか

アクチュアリー試験の参考書リストに大学受験用の本が入っているのは、一見すると場違いに見えます。しかし、タクティクスの漸化式の章の導入を読むと、理由がはっきり書かれています。

数学初級者と中上級者の差として、大学入試レベルの確率問題への取り組み不足の差は大きいと思います。

過去問では大学入試の難問、古典的な確率の難問なども登場し、必ずしも教科書や演習書でその解法の解説が出ているわけではありません。しかも今後もいくらでも難問が登場することが予想されます。

つまり、指定教科書と指定演習書を完璧にしても、埋まらない領域があるという指摘です。本試験の確率の問題には、大学入試の系譜に属するものが混ざっている。そこは受験参考書のほうが解説が厚い、という構図になります。

タクティクスが挙げている2冊

同じ導入文の中で、初級者向けの参考書として2冊が並べられています。

時間があれば、という前提でですが、離散型一般、漸化式などでもっともっと練習もしたいという初級者向けの参考書としては、『合格る確率』がわかりやすく確率問題全般を網羅しているので、取り組むのも良いと思います。『解法の探求・確率』も薄い本ながらかなり多くの入試問題を紹介しています。

この本には「わかりやすく確率問題全般を網羅している」という評が付いています。もう1冊の『大学への数学 解法の探求・確率』は「薄い本ながらかなり多くの入試問題」。網羅性と問題数、という違いで書き分けられています。

初級者向けと明記されているのはこの2冊で、中上級者向けには『基本確率』が挙がっています。

「時間があれば」という前置き

引用文の冒頭にある「時間があれば、という前提でですが」は、読み飛ばさないほうがよい部分です。

同じ導入文には、優先順位についてもはっきり書かれています。

ただ数学試験の範囲はかなり広いこともあり、どこまでこの難問クラスの問題の準備をすべきかというと、まずは一通りの問題(本書上巻・下巻)をすべてクリアしたあとでもよいのかなと思います。

「本書上巻・下巻」と明記されているので、タクティクスを通しでクリアしてから、が想定です。難問対策を先にやる本ではありません。

場合の数と確率の数え上げ

この本のもうひとつの効き目は、書名にある「場合の数」の側にあります。

離散型の確率の問題は、多くの場合、何通りあるかを数える作業に帰着します。それを速く正確に出せるかどうかが、そのまま解答時間に効いてきます。本試験は時間との勝負なので、数え上げで手が止まる状態は、それだけで失点につながります。

組合せの考え方を高校範囲でもう一度整理し直すなら、この本の場合の数の部分が使えます。

どの段階で使うと効くか

自分がどちらの状態にいるかで判断が分かれます。

タクティクスの問題を解いていて、確率漸化式の立て方そのもので止まるなら、まず漸化式の章を繰り返すのが先です。それでも「入試レベルの確率の経験が足りていない」という感覚が残るなら、この本の出番になります。

逆に、統計や推定・検定で手応えが薄いなら、優先すべきは『リスクを知るための確率・統計入門』のような統計側の本でしょう。確率の演習を積み増しても、統計の論点が直接埋まるわけではありません。

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まとめ

  • タクティクスの漸化式の章が、初級者向けの受験参考書として2冊を挙げている。そのうちの1冊。
  • 理由は「大学入試レベルの確率問題への取り組み不足」。本試験には入試の難問や古典的な難問が出るが、指定教材に解説があるとは限らない。
  • 評価は「わかりやすく確率問題全般を網羅している」。もう1冊の『解法の探求・確率』は「薄い本ながら問題数が多い」。
  • 前提は「時間があれば」「本書上巻・下巻を一通りクリアしたあと」と本文に明記されている。先にやる本ではない。
  • 場合の数の数え上げを速く正確にする、という側面もある。解答時間に直結する部分。