どんな本か

『生命保険数学の基礎 第3版』(山内恒人、東京大学出版会、2020)は、生保数理を基礎から体系的に解説した定番書です。著者の山内恒人先生は、合格へのストラテジー生保数理の監修者でもあります。タクティクスのおすすめ図書欄では、指定教科書に続けて次のように紹介されています。

ストラテジー生保数理の監修をしていただいた山内先生の著書で、長年の経験と知恵がたっぷり詰まった良書でお勧めいたします。

指定教科書『生命保険数学』が1992年改訂版の簡潔な記述であるのに対し、この本は同じ体系を、なぜその式になるのかという動機や図解を添えて丁寧に展開します。「じっくりと理解を深めたい場合に」というのが、タクティクス側の位置づけです。

タクティクスが参照している2か所

本文からの参照は2か所です。数は少ないのですが、参照のされ方に特徴があります。

1つ目は、利率まわりの不等式 $i > i^{(k)} > \delta > d^{(k)} > d$($i > 0$、$k \geq 2$ のとき)の図形的解釈です。この不等式は暗記しようとすると添字の海に沈みますが、この本には大小関係が一目で分かる図が載っている、という参照です。

2つ目は、3人以上の条件付連生確率で使われる「主役・脇役・通行人」の喩えです。連合生命(教科書第12章)の条件付き確率は、誰の死亡時点を基準に、誰の生存を条件にするかで式が枝分かれします。この本の喩えは、その登場人物の役割分担をイメージで固定するためのもので、タクティクスの解答解説にもそのまま借用されています。

どちらも、式変形そのものではなく「式の意味を絵にする」参照です。弱点克服(数学の型H記事で扱った本)が問題量を供給する本だったのと対照的に、この本は理解の像を供給する本として使われています。

どの段階で使うと効くか

効くのは、教科書とタクティクスで演習を進めながら、「手は動くが意味が見えていない」と感じた論点が出てきたときです。利率の換算、生命年金と保険の関係、責任準備金の意味、連合生命。式が長くなる論点ほど、この本の図解と動機づけの説明が効きます。

一方で、この本自体は試験問題集ではありません。ページを追う読書に時間をかけすぎると演習が薄くなるので、論点単位で引く辞書的な使い方が現実的です。監修者つながりでストラテジー生保数理と流儀が近いのも、併用時の消耗が少ない理由になります。

ライブラリーの該当ページ

この本は、書籍ライブラリーのアクチュアリー第1次試験の参考書に「生保数理」として登録してあります。書名のリンクからAmazonの該当ページに移動できます。

まとめ

  • 『生命保険数学の基礎 第3版』は、ストラテジー生保数理の監修者・山内恒人先生による体系書。タクティクスのおすすめ図書欄で指定教科書の次に推薦されている。
  • タクティクス本文からの参照は2か所で、どちらも「式の意味を絵にする」参照(利率不等式の図形的解釈、連生の主役・脇役・通行人の喩え)。
  • 使いどころは、演習中に「手は動くが意味が見えない」と感じた論点の読み直し。問題集ではないので、論点単位で引く辞書的な使い方が合う。