結論の道筋を先に

範囲内12章を、次の順で進めるのがこの記事の結論です。

  1. 第1章 利息の計算 → 第2章 生命表および生命関数(土台)
  2. 第4章 純保険料 → 第5章 責任準備金(本流の幹。試験の中心)
  3. 第7章 営業保険料 → 第8章 実務上の責任準備金 → 第9章 解約その他諸変更(本流の枝)
  4. 第6章 計算基礎の変更(幹と枝が済んでから)
  5. 第3章 脱退残存表 → 第13章 就業不能 → 第14章 災害および疾病(拡張・その1)
  6. 第12章 連合生命(拡張・その2。最後の山)

出題範囲の地図の記事で分けた「土台・本流・拡張」の3ブロックを、時間軸に並べ直したものです。以下、なぜこの順になるのかを実測データで確かめます。

理由1:依存関係が一本道だから

生保数理の章は、積み木のように下から積む構造をしています。

利息の計算(第1章)と生命表(第2章)は、以降のすべての章が使う道具です。純保険料(第4章)はこの2つを使って給付と保険料の現価の期待値を等しく置くことで定まり、責任準備金(第5章)は将来の給付現価と将来の純保険料現価の差額として定義されます。ここまでが幹です。

第7〜9章(営業保険料・実務上の責任準備金・解約)は、幹に事業費や実務の事情を載せた応用で、第4・5章が入っていないと式の意味が取れません。第6章(計算基礎の変更)も、純保険料式責任準備金を知らないと比較のしようがない章です。

第12章の連合生命は、第2章の生命関数と第4・5章の枠組みを複数の生命に拡張したもの。第3章(脱退残存表)は第13・14章(就業不能・災害疾病)の前提になる一方、本流からはほぼ独立です。だから第3章は最初に読む必要がなく、第13・14章の直前まで送れます。

理由2:頻度の重い章から早く着手できるから

論点ランキングの記事で数えたとおり、26年分の過去問で毎年登場するのは養老保険・純保険料・責任準備金・営業保険料でした。つまり本流ブロック(第4・5・7章)の中心論点は、26年度中26年度、すべての年度に登場しています。

この順序なら、学習期間の前半で毎年出る論点がすべて手元に揃います。仮に後半の進みが遅れて拡張ブロックが薄くなっても、毎年登場している論点(26/26年度)を未学習のまま残すリスクがいちばん小さい形で本番を迎えられます。逆に章順どおりに進めて第3章で止まると、毎年出る第4・5章に触れないまま時間が過ぎます。

理由3:証明問題の厚い章に演習時間を残せるから

教科書の練習問題を集計すると、証明問題は第1・2・4・5・12章の5章に98問と、極端に偏っています。本試験の証明・導出はこの5章の練習問題が源流なので、この5章は「読む」だけでなく「証明を再現する」水準まで上げる必要があります。

上の順序は、証明の厚い章(1・2・4・5)を前半に置き、最大の山(12章:練習問題84問。小問単位の数え方で、証明はうち17問)を最後に独立させた形になっています。12章を最後に置くのは後回しではなく、直前期にまとまった時間を確保して一気に登るための配置です。ここを計画に明示しておかないと、12章は自然に消えます。

体験談でも同じ形が語られていた

体験談分析の記事で見たとおり、7件全員が指定教科書を使っていましたが、章順どおりの通読は主流ではありません。純保険料と責任準備金を早く押さえる、脱退残存表と連合生命を後ろに置く、という進め方が実際に語られており、上の順序はその実例とも一致します。

もう1つ体験談から借りるべきは、時間配分です。学習時間を記録していた1件では、合計約305時間のうち約200時間が過去問でした。章の学習は「教科書を読み切ってから過去問」ではなく、1章ごとに問題で固めながら進め、全章一巡した時点で過去問の年度別演習へ切り替える。少なくともこの記録では、その2段構えで時間が配分されていました。

使い方のまとめ

  • 第1・2章 → 第4・5章 → 第7・8・9章 → 第6章 → 第3・13・14章 → 第12章の順で進める。
  • 毎年出る論点(養老・純保険料・責準・営業保険料)が前半で揃う配置なので、進みが遅れても被害が小さい。
  • 証明問題は第1・2・4・5・12章に集中。この5章は証明を再現できる水準まで。第12章は直前期にまとまった時間で。
  • 章ごとに問題で固めて進み、一巡後は年度別の過去問演習へ切り替える。教科書の通読は必須ではない。