その名前をどこで見るか

メーカムの法則として出てきます。ゴムパーツの法則 $\mu_x = Bc^x$(ゴムパーツの人物記事で扱っています)に、年齢によらない定数項 $A$ を足しただけの形です。

$$\mu_x = A + B c^x$$

生存数で書くと $l_x = k\, s^x g^{c^x}$ という形になり、ゴムパーツ律の $k g^{c^x}$ に $s^x$ の因子が1つ増えます。この $s$、$g$、$c$ は教科書でメーカム定数と呼ばれています。

意味も見た目どおりです。$Bc^x$ が年齢とともに幾何級数で増える死亡(老化による死亡)、$A$ が年齢と関係なく一定の率で起きる死亡(事故のような外因)。2つの足し算で死力を表す、という読み方ができます。

どんな人だったか

メーカム(W. M. Makeham)は19世紀イギリスの保険数理人です。1860年にゴムパーツの法則の修正としてこの形を提案しました。教科書に載る事実はこの1点に集約されますが、その1点が160年以上使われ続けています。ゴムパーツが骨格を作り、メーカムが実用に耐える形へ仕上げた、という関係です。

なぜその概念が必要になったか

理由は2つあります。

1つ目は当てはまりです。ゴムパーツ律は死亡がすべて「老化型」だという仮定なので、若い年齢の死亡率を過小に見積もります。定数項 $A$ を足すと、この欠点が補われます。教科書は、この法則が50歳前後から上の年齢に特によく当てはまり、粗死亡率の補整——観測値からメーカム定数を推定して、滑らかな曲線に乗せ直す使い方——が実務でよく行われる、と述べています。

2つ目が、試験的にはより重要な、連合生命との相性です。教科書は第2章の段階で「第12章で述べるように、メーカムの法則を仮定すると連生生存確率や連生年金の計算を簡便に行うことができる」と予告しています。独立な2人がともに生き残る状態の死力は各人の死力の和で決まるので、メーカム律なら時点 $t$ での和

$$\mu_{x+t} + \mu_{y+t} = 2A + B(c^x + c^y)c^t = 2\left(A + Bc^{w+t}\right)$$

が、$c^w = (c^x + c^y)/2$ と置いた同い年 $w$ の2人分の死力にちょうど一致します。つまり年齢の違う $(x, y)$ の連生を「同い年 $w$ の2人の連生」に置き換えられ、連生の表が同年齢の分だけで済むようになります(定数項のないゴムパーツ律なら、さらに1人の単生にまで落ちます)。定数項を1つ足しただけの法則が、教科書で最大の章(第12章・連合生命)の計算術を支えている、という構図です。

試験ではこう出る

過去問26年分の本文検索では、メーカムという名前そのものは拾えませんでした。ただしタクティクスは死亡法則(ド・モアブル・ゴムパーツ・メーカム)を出題実績のある論点として明記しています。名前の頻度より、次の2つの出方への備えが実になります。

  • $\mu_x = A + Bc^x$ を与えて生存数・生存確率を導出させる形(ゴムパーツ律の計算に $s^x$ の因子が加わるだけ)
  • 連合生命の問題で、メーカム律を仮定して等価な年齢に引き直させる形

後者は第12章の学習とセットです。連合生命は学習順序の記事で「最後の山」と位置づけた章ですが、メーカム律の変換はその山で使う数少ない近道なので、法則側から先に頭に入れておくと第12章の負担が軽くなります。

まとめ

  • メーカムの法則は $\mu_x = A + Bc^x$。老化による死亡($Bc^x$)と年齢によらない死亡($A$)の和として死力を表す。
  • 1860年、ゴムパーツ律の修正として提案された。50歳前後から上によく当てはまり、死亡率の補整に実用されている。
  • 最大の利点は連合生命との相性。独立な2人の死力の和が同じ型にまとまるため、年齢の違う連生を同い年の連生に引き直せる。教科書第12章の計算術の土台。
  • 名前の出題頻度は低いが、法則の形と連生への応用は出題実績が明記された論点。第12章対策とセットで押さえる。